カーボン・マイスターの「チクチク人生劇場」

• 04/27/02:53

今回は、ちょっと専門的なお話です

プリプレグ成型におけるオートクレーブとは、
かなり無理のある表現ですが、
クルマのターボとノンターボみたいなもんです

ターボチャージャーは自然吸気に対し、
強制的に圧縮した空気を送り込み、馬力を飛躍的に増大させるものです

バッグ成型の真空ポンプのみの圧は、大気圧とイコール。７６ミリバール（現在はヘクトパスカル）
自然吸気エンジンのようだ

対して、オートクレーブは強制的に圧力をコントロールできる。ターボのようなものだ
気をつけないと、内部のハニカムまでつぶしてしまう

もっと身近な例で言うと、お料理で使う圧力鍋があげられる

あの鍋は密閉した釜を加熱することによって、内部の空気が膨張し、圧がグングン上昇するわけだ
結果、あっという間に中の具材をトロトロに煮込んでしまう魔法の鍋となる
あの原理だ

意外にも、もっと小型のオートクレーブが身近にある
病院のタオルの滅菌に使われている。電子レンジぐらいの大きさだ

どこの病院にも必ずある
圧をかけると、バイ菌が死ぬんだそうだ

私のカミサンは看護師をしていて、私がたまたま「オートクレーブが・・・」と口走ったときに
「なんでオートクレーブ知ってんの？」と驚かれたことがあった

こちらにしてみれば「なんでオメェが知ってんだ？」・・・だったわけですが

成型用のオートクレーブはすべて特注のオーダーメイドです
サイズや制御盤の装備など、使い勝手によってオーダーします

軽く家が建つぐらいのお値段がします。稼ぐ道具は高いのです
ああ、欲しい・・・

私に貸してくれれば、世の中のためになるのになぁ・・・

オートクレーブは圧をかけるため、円筒形の形をしています
よって、中の有効体積が小さいのです

だから大物を作るためには、大きいオートクレーブが必要です
でも大きさには限界があるのです

大きい風力発電のブレード（羽）はカーボンファイバーです

ハンドレイアップ（ウエット）でもなく、プレプレグ（ドライ）でもなく、
インフュージョンという技法が使われます

大物製作にあたって、必然的に生まれた成型方法です
このインフュージョンについては、また別の機会で・・・


オートクレーブ成型：
http://www.toray.co.jp/composites/modeling/mdl_a004.html

　　　　　　＊　　　　　＊　　　　　＊　　　　　＊　　　　　＊


　レッド＆カーボン:　http://carbon.art-studio.cc/
　 　　　　　　または:　 http://www.カーボン職人.com/
　

　

• 10/20/19:05
• 旧ブログ‘まぐまぐ’インポート記事
• トラックバック: