11.25.08:34 [PR] |
10.11.13:50 ドライカーボンとウェットカーボン/その5 |
ドライカーボンとウェットカーボンのちがい
今回は‘切る’がテーマ
まずはウェットカーボンに使う、生のカーボンから説明
生のカーボンは、ハサミまたはカッターで切ります
切ったままの状態だと、どんどんバラけていきます
Gパンのすそを切ったままだと、どんどんほつれていくのと同じですね
それを積層するわけですが、脱泡作業の際、
脱泡ローラーをころがして 中まで含浸させながら気泡を抜くので
さらにほつれていく宿命にあります
ほつれを最小限に止めるため、スプレーのりを軽くかけておきます
かけすぎは、白濁するので厳禁です
今度はドライカーボンの説明
こちらもカッターまたはハサミで材料を切り出すわけですが
ほつれることはありません
なぜならば、すでに樹脂が付着させてあるからです
硬化剤がすでに入っているため、化学反応を起こさないように
普段は冷凍保存しておきます
この時点では、バキバキです
そして使用前日には冷凍庫から出して常温に戻しておきます
常温ではカサカサ。 夏場ではベタベタ。 ・・・こんな感触ですね
なのでカットしたところで、ほつれることもありません
きれいなカットラインが出せます。 だからプロッターでも切れるのです
これは生のカーボンではマネできないとこであります
さらにメス型に貼り込んでいくわけですが、ドライヤーであぶって
もっと柔らかくして、ベットリとした状態で型に密着させていきます
「う・・・ミスった」 と、おもったら冷風に切り替えれば
はがして、貼り直しもできます
これも、1発勝負のウェットカーボンにマネできないところ
つまり、ドライカーボンは切り口が目立たないため
合わせ目が目立たず、目ヨレもしにくいのです
ドライカーボンのラミネート作業では、
これといって職人芸的なものは必要ありません
合わせ目が目立たないという、わかりやすい例をあげましょう
ボンネットです
ウェットカーボンでは、1500mm幅の1枚ものを使います
つなぎ目を出さないために
ドライカーボンでは、1000mm幅のものをセンターで合わせて2枚で貼ります
なぜ2枚合わせかというと、1500幅のものはドライカーボンにないからです
・・・・それだけw
リップスポイラーも同様の理由で、ドライではセンター合わせになります
ドライカーボンは切り口がきれいで、なおかつ
曲がっても貼り直すことが何度でも可能です
だから、ボンネットの真ん中で2枚合わせしても、違和感がないのです
ウェットカーボンはそんなことできません
しかし複雑な曲面では、1枚もので貼ることはできません
なので、何ピースかに分割するわけですが、
ウェットカーボンで、このつなぎ目を「なんとか目立たなくしたい」
と考えて編み出したのが、ウチの製品のサンバースト仕上げです
これは、つなぎ目の部分とハサミが入る部分に
あらかじめ黒ゲルコートでエアーブラシ処理をしておくものです
よく塗装をかんちがいされるんですけど、
塗装というのは、製品の外側から吹き付けるもので
これは製品表面のゲルコートを色分けして処理したもので
塗装ではありません
ドライカーボンは、つなぎ目がきれいなので こんなことする必要もありませんし
それ以前に、ゲルコートそのものが使えません
価格はウェットカーボンのほうが安く流通してますが、
技術的にはウェットのほうが難しく、習得にも時間がかかります
対して、ドライカーボンの難しさは、加熱することよって起こる
さまざまな不具合の予防と対処ですね
こちらも経験が必要で、一長一短にはいきません
あと、余談になりますが
ボーイング787の生産が動き出しているので、カーボンの供給は
そちらにとられるとおもわれます
1500mm幅のカーボンは自動車でよく使われるわけですが
ドライカーボンに転用できないので、ますます入手しにくくなっていくでしょう
この先どうなるかは・・・わかりません
今回は‘切る’がテーマ
まずはウェットカーボンに使う、生のカーボンから説明
生のカーボンは、ハサミまたはカッターで切ります
切ったままの状態だと、どんどんバラけていきます
Gパンのすそを切ったままだと、どんどんほつれていくのと同じですね
それを積層するわけですが、脱泡作業の際、
脱泡ローラーをころがして 中まで含浸させながら気泡を抜くので
さらにほつれていく宿命にあります
ほつれを最小限に止めるため、スプレーのりを軽くかけておきます
かけすぎは、白濁するので厳禁です
今度はドライカーボンの説明
こちらもカッターまたはハサミで材料を切り出すわけですが
ほつれることはありません
なぜならば、すでに樹脂が付着させてあるからです
硬化剤がすでに入っているため、化学反応を起こさないように
普段は冷凍保存しておきます
この時点では、バキバキです
そして使用前日には冷凍庫から出して常温に戻しておきます
常温ではカサカサ。 夏場ではベタベタ。 ・・・こんな感触ですね
なのでカットしたところで、ほつれることもありません
きれいなカットラインが出せます。 だからプロッターでも切れるのです
これは生のカーボンではマネできないとこであります
さらにメス型に貼り込んでいくわけですが、ドライヤーであぶって
もっと柔らかくして、ベットリとした状態で型に密着させていきます
「う・・・ミスった」 と、おもったら冷風に切り替えれば
はがして、貼り直しもできます
これも、1発勝負のウェットカーボンにマネできないところ
つまり、ドライカーボンは切り口が目立たないため
合わせ目が目立たず、目ヨレもしにくいのです
ドライカーボンのラミネート作業では、
これといって職人芸的なものは必要ありません
合わせ目が目立たないという、わかりやすい例をあげましょう
ボンネットです
ウェットカーボンでは、1500mm幅の1枚ものを使います
つなぎ目を出さないために
ドライカーボンでは、1000mm幅のものをセンターで合わせて2枚で貼ります
なぜ2枚合わせかというと、1500幅のものはドライカーボンにないからです
・・・・それだけw
リップスポイラーも同様の理由で、ドライではセンター合わせになります
ドライカーボンは切り口がきれいで、なおかつ
曲がっても貼り直すことが何度でも可能です
だから、ボンネットの真ん中で2枚合わせしても、違和感がないのです
ウェットカーボンはそんなことできません
しかし複雑な曲面では、1枚もので貼ることはできません
なので、何ピースかに分割するわけですが、
ウェットカーボンで、このつなぎ目を「なんとか目立たなくしたい」
と考えて編み出したのが、ウチの製品のサンバースト仕上げです
これは、つなぎ目の部分とハサミが入る部分に
あらかじめ黒ゲルコートでエアーブラシ処理をしておくものです
よく塗装をかんちがいされるんですけど、
塗装というのは、製品の外側から吹き付けるもので
これは製品表面のゲルコートを色分けして処理したもので
塗装ではありません
ドライカーボンは、つなぎ目がきれいなので こんなことする必要もありませんし
それ以前に、ゲルコートそのものが使えません
価格はウェットカーボンのほうが安く流通してますが、
技術的にはウェットのほうが難しく、習得にも時間がかかります
対して、ドライカーボンの難しさは、加熱することよって起こる
さまざまな不具合の予防と対処ですね
こちらも経験が必要で、一長一短にはいきません
あと、余談になりますが
ボーイング787の生産が動き出しているので、カーボンの供給は
そちらにとられるとおもわれます
1500mm幅のカーボンは自動車でよく使われるわけですが
ドライカーボンに転用できないので、ますます入手しにくくなっていくでしょう
この先どうなるかは・・・わかりません
* * * * * *
レッド&カーボン: http://carbon.art-studio.cc/ click please!!
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10.04.08:50 ドライカーボンとウェットカーボン/その4 |
第4回目。 今回はドライカーボン中心に解説
ドライカーボンの短所の話
ドライカーボン(プリプレグ)は、
「生のカーボンにエポキシ樹脂を付着させたもの」 と、説明しました
(※エポキシ以外の樹脂でも、オーダーすれば作ってもらえます)
そして、それを120度まで加熱して硬化させます
(※120度以下、以上のタイプもある)
・・・・で、この120度まで温度を上げる っていうのがネックなんですな
温度を上げると何が起こるかというと、まず、樹脂が伸びます
そのため120度の温度でも伸びない樹脂をメス型に使うということです
それから、メス型に気泡があってはならない
熱膨張によって、気泡が膨らんでしまうからです
熱による弊害はまだあります
素材によって、熱膨張率がちがうということ
樹脂と金属では、当然膨張率がちがいます
異種素材の、熱膨張の差を 常に想定しておかなければならないのです
そういったことがあるから、低温タイプのプリプレグもあるのです
しかし、賞味期限はぐっと短くなるのは避けられませんね
それとドライカーボンというのは、チャンバーで焼いて硬化させる必要があるため
チャンバーのサイズに左右されるということも短所となります
つまり、大物成型には向かないということです
大きな風力発電のブレード(羽)などはドライカーボンではなく
ウェット技法の進化系、インフージョンなどが用いられています
ここまで、あまりクルマ・バイクに関係ない専門的な話になってしまいました
少し話を戻します
最初に指摘した、「加熱して成型する」の弊害として
強い離型剤を使用する ということがあげられます
製品をメス型からはがすためには、型に貼り付かないように
はじく離型剤というものを、あらかじめ塗布しておくわけですが
加熱させると、食いついてとれなくなってしまうため
非常に強力にはじくものを使います
そのため、塗装のときに しっかり脱脂して、足付け(製品面を荒らすこと)しないと
塗料をバリバリはじいてしまいます
ゲルコートがないこともあいまって、塗料が剥離しやすい原因が
ここにあるわけです
かといって、カーボン地を傷めるほど荒らすわけにもいきませんから
ソフトかつ念入りで、丁寧な足付けが重要となるわけです
ボンネットは、上から直射日光、下からエンジンの熱の
ダブル攻撃を受けますから、足付けを手抜きしない業者にお願いしないと
あっというまに剥離して、水虫状態になります
塗った直後はわかりませんから、信頼できる業者に頼むしかないですね
ドライカーボンの短所の話
ドライカーボン(プリプレグ)は、
「生のカーボンにエポキシ樹脂を付着させたもの」 と、説明しました
(※エポキシ以外の樹脂でも、オーダーすれば作ってもらえます)
そして、それを120度まで加熱して硬化させます
(※120度以下、以上のタイプもある)
・・・・で、この120度まで温度を上げる っていうのがネックなんですな
温度を上げると何が起こるかというと、まず、樹脂が伸びます
そのため120度の温度でも伸びない樹脂をメス型に使うということです
それから、メス型に気泡があってはならない
熱膨張によって、気泡が膨らんでしまうからです
熱による弊害はまだあります
素材によって、熱膨張率がちがうということ
樹脂と金属では、当然膨張率がちがいます
異種素材の、熱膨張の差を 常に想定しておかなければならないのです
そういったことがあるから、低温タイプのプリプレグもあるのです
しかし、賞味期限はぐっと短くなるのは避けられませんね
それとドライカーボンというのは、チャンバーで焼いて硬化させる必要があるため
チャンバーのサイズに左右されるということも短所となります
つまり、大物成型には向かないということです
大きな風力発電のブレード(羽)などはドライカーボンではなく
ウェット技法の進化系、インフージョンなどが用いられています
ここまで、あまりクルマ・バイクに関係ない専門的な話になってしまいました
少し話を戻します
最初に指摘した、「加熱して成型する」の弊害として
強い離型剤を使用する ということがあげられます
製品をメス型からはがすためには、型に貼り付かないように
はじく離型剤というものを、あらかじめ塗布しておくわけですが
加熱させると、食いついてとれなくなってしまうため
非常に強力にはじくものを使います
そのため、塗装のときに しっかり脱脂して、足付け(製品面を荒らすこと)しないと
塗料をバリバリはじいてしまいます
ゲルコートがないこともあいまって、塗料が剥離しやすい原因が
ここにあるわけです
かといって、カーボン地を傷めるほど荒らすわけにもいきませんから
ソフトかつ念入りで、丁寧な足付けが重要となるわけです
ボンネットは、上から直射日光、下からエンジンの熱の
ダブル攻撃を受けますから、足付けを手抜きしない業者にお願いしないと
あっというまに剥離して、水虫状態になります
塗った直後はわかりませんから、信頼できる業者に頼むしかないですね
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レッド&カーボン: http://carbon.art-studio.cc/ click please!!