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カーボン・マイスターの「チクチク人生劇場」

※現在、製作・販売業務は一切しておりませんのでご了承ください。また、再販予定もございません
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11.25.11:06

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  • 11/25/11:06

10.03.13:12

ドライカーボンとウェットカーボン/その3

ドライカーボンとウェットカーボン 第3回目
引き続き、クルマ・バイク好きの方を対象とした解説をしていきます


クルマ・バイクのアフターパーツとして、出回る商品は
ほぼこの3種類

・ウェットカーボン → ハンドレイアップ

・ドライカーボン → 真空バッグのみ
            → 真空バッグ+オートクレーブ



前回、説明した通り ウェットカーボンのみゲルコートがあります


ゲルコートのあるカーボンは、艶やかな光沢があるのが特徴ですが、
「光沢がキライ」・・・という方も多いとおもいます


レース車両が好きな方に多いですね
これはドライカーボンの真空バッグのみで成型した風合いを好んでいるということです


ウチで作ったTさんのF40・リップスポイラーです


写真だとわかりづらいんですが、これはウェットカーボン製品に
艶消しのクリアを塗装したものです

ドライカーボン/真空バッグ成型品の風合いを模倣したわけです



なぜドライカーボンに艶がないかというと、ゲルコートがないからで、
カーボン繊維がむき出しになっているからですね


オートクレーブ無しだと、カーボンのクロス目がボイド(巣穴)となって表れます
これが「レーシングカーっぽくて好き」という嗜好となるわけです




ドライカーボン/真空バッグ+オートクレーブ を本来必要とするものは、
レーシングカーのモノコックくらいです


真空バッグでかけられる圧力は、最大1気圧ですが
オートクレーブたと20気圧くらいまでかけることができます(通常は5気圧程度)


モノコックシャーシーに限っては、安全性を高めるために使う必要があるからで、
レーシングマシンでも、その他のパーツでは使ってません


ですが・・・ストリートパーツでも使われています
これはボイド入りの商品を嫌って、わざわざ加圧してボイドをなくして市場に出します


同じドライカーボンでも、好みが分かれて
ボイドの入った枯れた風合いが好きな人と、艶のあるほうが好きな人がいるということです

めんどくさいですねw


もし欲しいドライカーボン製品があって、
標準仕様がツルッとしたタイプだったとします


それがイヤな場合、「オートクレーブかけないで作れませんか?」
と、問い合わせてみるのもいいかもしれません

融通の利く業者なら、やってくれるとおもいますよ

その逆は、設備の問題で無理だとおもいますけどね


ちなみに、どちらもゲルコートがないので
日光に当たると、どんどん黄緑色の変色が進行して行きます

それが嫌な人は、クリア塗装するか 男らしく色を入れてしまいましょうw



〔番外〕

話が少しそれてアフターパーツではないですが、

たしかGTRの純正ボンネットでRTM成型のものだったとおもいます
これはここに分類されます

・ウェットカーボン → ハンドレイアップ
             → 真空バッグ有 (RTM ,インフュージョン等)

・ドライカーボン → 真空バッグのみ
           → 真空バッグ+オートクレーブ


これらはアフターパーツと関係ないし
専門的で、あまりクルマと関係ないので 今回は割愛



あ・・・あと、もうひとつおまけに 
コルベットのボディは、スプレーアップ(カーボンではないですけど、クルマつながりで)

これは、ここに分類されます

・ウェットカーボン → ハンドレイアップ, スプレーアップ
            → 真空バッグ有 (RTM ,インフュージョン等)

・ドライカーボン → 真空バッグのみ
           → 真空バッグ+オートクレーブ


スプレーアップは、船でよく使われる技法で、クルマではめずらしいです
ま・・・クルマでもコルベットくらいですけど


重く、ゴツくなりがちなので、自動車向きではありません


RTM、スプレーアップ、 どちらもアフターパーツで使われることはないです



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09.30.16:15

ドライカーボンとウェットカーボン/その2

その1に 引き続き、ドライカーボンとウェットカーボン/その2 です

前回同様、一般のクルマ・バイク好きの人に伝わるような説明、
そして関わりのある話をします


その1で、ドライカーボン、ウェットカーボンとはなんぞや?
という話をざっくりしました


ウェットカーボンの発展形がドライカーボンなわけですが
そもそも、F.R.Pとはなんぞや? ・・・というとこからお話します

意外と答えられない人も多いんではないでしょうか?


F.R.Pとは

F:fiber =繊維
R:Reinforced  =強化された
P:Plastics =プラスティック


・・・の略称です

つまり、ガラスでも、カーボンでも、ケブラーでも 
繊維であれば、すべてF.R.Pに属します


カーボンは、C.F.R.Pと表現されたりもしますが
カーボン+ガラス+ケブラーのような、3層構造を正確に表現する表記法はありません


さらに言えば、カーボン×1+ガラス×2+カーボンケブラー×1 
・・・のような商品を正確に表す表記もありませんし、
部分的に積層増しした場合などをすべて表記することなどは不可能です


レーシングカーは別として、カー用品などは
表面にカーボン、裏側はガラス繊維のケースが普通ですが
それらは単に‘カーボン’とよばれてます



F.R.Pとはなんぞや・・・・の呼び方の話はここまでにして
今度は、‘どういうものなのか’という説明に入ります


まず樹脂(プラスティック)ですが、これは基本的に
主剤+硬化剤を混ぜて化学反応をおこして、液体を固体に変化させるものです


それだけでは もろいので、繊維に浸み込ませることにより強度を得ます


それを平らな板に貼り付ければ固まって、平板となり
まがったパイプなどに貼り付ければ、カーブした板になります


つまりバンパーを反転した型の内側に貼り付ければ
バンパーの形ができるというわけですね

これがF.R.Pバンパーです


純正のP.Pバンパーなどとちがい、
繊維が入っていることにより、非常に高強度を得ることができるわけです


ウェット成型では、ローラー&ハケで繊維に樹脂を含ませ、メス型に貼り付け、
さらに脱泡ローラーという道具で気泡を抜き、完全に浸み込ませます


ドライの成型では、あらかじめ樹脂が含まれていますから、それをメス型に貼り付け
真空バッグで強制的にメス型に密着させ、気泡を抜き、
なおかつ発生するアウトガスも同時に抜きます


繊維は曲がりにくい性質を持っていますので、強制的に密着させるバッグ成型のほうが
山の部分、谷の部分がきつい形状でも、有利です




それともう1点、大きなちがいがあります

一般的に
ウェットカーボンでは、不飽和ポリエステル樹脂が使用され
ドライカーボンでは、エポキシ樹脂が使用されます


これは、ウェットカーボンには不飽和ポリエステル樹脂が向いていて
ドライカーボンは、エポキシ樹脂に向いているからです


なぜそうなのかは、作業者でない一般の方には関係のない
専門的な話なので割愛しますが
ドライカーボンのほうが激しく黄緑色に経年変化するのは、そのせいです


また、ドライカーボンにはゲルコートがありません
それも上記の理由と関係していて、エポキシ樹脂はゲルコートに不向きな材料なのです


ストリートパーツには、ゲルコートは重要な役目を果たしています


ドライカーボンのボンネットの塗装が、著しく劣化を起こし、
水虫のような状態に陥るのは、ゲルコートが使えないことが大きく関係してます


ドライカーボンとウェットカーボンのちがい/その2は ここまで






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